治療全般において、特定の効果を得るためには、通常、複数の治療の選択肢があります。
例えば、風邪を治そうと思ったときには、さまざまな種類の風邪薬があります。
また、なにもせずに自己治癒力で治そうとする人もいれば、生姜スープで風邪を治そうとする人もいるかもしれません。風邪を治すための薬の種類や治療の方法は多岐にわたります。
美容医療の分野でも、特定の効果を得たい場合には、考えられる多くの治療法があります。例えば、顔のたるみには、HIFU、スレッドリフト、切開リフトなど、多様な治療が存在します。
PRP注射においても、ほうれい線治療や額の丸み形成などには、ヒアルロン酸や脂肪注入で類似の効果が得られることもあります。
しかし、特定の部位では、どうしてもPRP注射じゃないと症状の改善が難しい部位が存在します。
1. シリコンバッグ豊胸修正
シリコンバッグによる豊胸手術をしたけれど、バッグの輪郭がはっきりと目立ち不自然である、または被膜拘縮により表面に段差ができた、といった問題を抱える方は少なくありません。
もっと小さなバッグに入れ替えたり、シリコンバッグを抜去してしまうという方法もありますが、せっかく入れたバッグですから、できれば入れたまま見た目を自然にしたい、という方が多いのではないでしょうか。
現在、そのような要望に対する治療法としては、バッグ周辺に、足やお腹から採取した脂肪を注入する、という方法があります。しかし、そもそも修正が必要な方は、皮下脂肪が少ないためにバッグの輪郭が目立つわけで、吸引する脂肪がない方がほとんどです。
また、かろうじて注入できる脂肪があったとしても、バッグ周辺へ注入した脂肪は生着率が低く、ほとんど吸収されてしまいます。
しかし、PRP注射であれば、脂肪吸引は不要で、採血のみで、バッグの輪郭部分や段差を、ご自分の皮膚や皮下組織により目立たなくことが可能です。かつ、効果は5年たっても半分以上は残ります。
1回の治療でも効果はありますが、さらに効果をだしたい場合でも、採血のみで何回でも治療を受けることができます。
ですので、シリコンバッグを残したまま見た目を自然にしたい、かつ脂肪が少ない方にとっては、PRP注射は唯一の治療法と言えます。
2. 豊尻術
豊尻術は、おしりのボリュームを出す治療です。主な方法としては、脂肪注入やヒアルロン酸、シリコンインプラント挿入術などがあります。脂肪注入の場合、おしりを大きく見せたい方は、やせ型の方が多いため、太ももやおなかなどから脂肪を採取することがむずかしい場合が多いです。
採取が可能であっても、痛みやダウンタイム、脂肪吸引によるリスクを心配して、脂肪吸引までするくらいならおしりのボリュームアップはあきらめるという方も多いでしょう。
一方ヒアルロン酸については、高分子型(硬いタイプ)の吸収されにくいヒアルロン酸もあります。
ですが、おしりは広範囲に注入が必要となるため、硬いヒアルロン酸を使用すると不自然な形状になりがちです。また、部位によって吸収時期にムラがあるため、注入直後は自然でも、時間とともに凹凸やしこりが出現することが多いです。
さらに、おしりは座る時に接地する部分であるため、ヒアルロン酸の吸収が早く、頻繁な施術が必要となります。これには高額なコストがかかり、現実的ではありません。
シリコンプロテーゼ挿入術は、お尻を大きくする確実な方法ではありますが、この治療は想像どおり皮膚切開が必要で、お尻に大きな異物を入れるという不安感はぬぐい切れません。また、一生挿入したままにはできないので、長期的には手術によるプロテーゼの抜去が必要となります。一般的には、それらのリスクをと負ってまで、お尻を大きくしたいという方はほとんどおられないのが現状です。
このような問題山積しているため、豊尻術治療があまりメジャーになっていない原因であり、価格やリスクも含め、患者さまが満足できない治療であることを物語っています。
これに対してPRP注射では、上記でご説明したような現状の治療で起こり得るリスクやデメリットがありません。
さらに、日常的に座り続けることによりできる「座り凹み」の色素沈着も薄くするというメリットもあります。このような理由から、豊尻治療もPRP注射“じゃないと”できない治療となります。
3. 脂肪吸引後の修正
脂肪吸引は身体の皮下脂肪を吸引により物理的に除去する治療です。確実に脂肪を除去するという点ではすぐれておりますが、施術の効果や結果、また合併症の有無については個人によって大きな差があります。特に脂肪吸引後の皮膚の凹凸や炎症性色素沈着、動作時のひきつれ、皮膚のたるみなどは、基本的に不可逆的な(元に戻せない)合併症であり、不幸にして起こってしまった方はそういた後遺症に悩まれている方は意外に多いです。
こういった合併症に対する治療としては、脂肪吸引部に他の部位から脂肪を採取し、吸引部合併症が起きた部分に注入する方法があります。しかし、多くの方がすでに脂肪吸引を受けているため、移植用の脂肪が不足し、治療効果が望めるくらいの脂肪を確保することは困難な場合が多いです。また、脂肪吸引を行った後に再度脂肪吸引を行うことは、心理的な抵抗がある方も多いのではないでしょうか。当院では脂肪吸引後の合併症対して、「PRP注射」による治療を行っております。
PRP注射では、もちろん再度の脂肪吸引は不要で、採血のみで注入部位に自家の皮膚成分や脂肪組織が確実に形成されます。さらに脂肪注入治療では改善が難しい色素沈着も改善が見込めるのもこの治療の大きなメリットです。
4. 目頭や眼鏡あとの凹み
目の周りの悩みは多種多様で、非常に多いですが、目頭や眼鏡跡の凹みも、これら特有の悩みの一つです。
目頭の凹みや色素沈着は、自分でも気づかないことが多い上、美容クリニックで指摘されることもほぼありません。
目頭はくぼみや曲線が狭い範囲に存在し、目に重要な器官があるデリケートな部分です。
さらに、皮膚が薄く、皮下組織が脆弱であるといった、様々な要因が重なり、例え患者さまが治療を希望されても、確立された有効な治療法が存在しません。
美容に詳しい方なら、凹みを治療するためにヒアルロン酸や脂肪注入を考えるかもしれません。しかし、ヒアルロン酸を注入すると、皮膚が透けて青みがかった不自然な色になることがあります。また、脂肪注入を行う針では、目頭の狭い曲面への注入は困難であることに加えて、皮膚が薄いため脂肪が生着しずらく、有効性には疑問が残ります。色素沈着の観点からは、レーザーやピーリングも選択肢になりますが、目という重要な器官があるため、機能障害を起こすリスクを負ってまで実施している医療施設は見当たりません。
それに比べて、PRP注射は注入部位の皮膚に厚みを持たせる効果と色素沈着改善効果がありますので、目頭のクマを改善することが可能です。
また、PRP注射に含まれる成長因子は注入部位からその効果が周囲に広がる「さざ波効果」を持つため、目頭の曲面に沿って肌再生効果が得られます。さらにヒアルロン酸や脂肪と異なり、「液体」という特性があるため、医療用の針の中ではもっとも細い針で注入することができます。これにより、狭い範囲の目頭にも精密な注入が可能となります。これらの理由から、目頭や眼鏡の跡の凹み治療には、PRP注射“じゃないと”できない治療となり、オンリーワンの選択肢と言えます。
5. 指の若返り
手の甲の治療にヒアルロン酸や脂肪注入などを行っているクリニックはありますが、実は指の若返りにはこれらの方法では困難なのです。
指は常に動かす部分であり、皮下組織もほとんど存在しないため、脂肪やヒアルロン酸による治療は困難です。そもそも指は若返りのために、単にボリュームをだせば良いという部分ではありません。
過度にボリュームを増やすと、指が不自然に太くなり、指輪の着用ができなくなる、逆効果となることがあります。
指の若返りでは、指の関節のシワの改善、皮膚の薄くなった部分だけの厚みの増加、および皮膚にうるおいを与える効果がないと不完全です。これらの目的を達成可能なのは、PRP注射だけです。指という機能や構造が複雑な部分の若返り治療も、PRP注射じゃないとできない部位と言えます。
6. 絶壁頭修正
絶壁頭修正(治療)をインターネットで調査すると、子供の絶壁頭修正については多くの民間療法が見つかりますが、大人の絶壁頭の修正にはこれらの方法は効果がありません。
これまで医学的に試みられていた方法の中に、ハイドロキシアパタイト(人工骨)を使用したものがあります。これは、ペースト状の人工骨を使用して、額を丸くする手術などに利用されていましたが、絶壁頭の修正にも一部応用されています。
しかしこの方法では、約1cmの切開から人工骨を挿入する必要があり、日本国内でこの手術を実施している医療機関はほんの一部で、これだと、完璧な曲面を作ることも至難の業です。他にも、頭部を半周大きく冠状に頭皮を切開し、人工骨を接着する方法もあります。これにより、きれいな曲面を形成できますが、頭髪内に傷が残ることや、大きな腫れが数週間続くというデメリットがあります。
さらに、ハイドロキシアパタイトが配合されたヒアルロン酸を注入する方法も存在します。
しかし、頭部にボリュームを出すためには大量のヒアルロン酸が必要であり、吸収されるたびに繰り返して注入する必要があるため、非常に高額となります。
PRP注射では、上記にあげたようなリスクを最小限に抑えながら頭部をご希望の形に形成することが可能です。また、効果は5年以上継続しますので、ヒアルロン酸よりもコスト的なメリットも大きいです。
安全性を担保しながら絶壁頭を確実に改善し、かつその効果を長期間にわたって持続する治療は、PRP注射だけといっても過言ではありません。